部屋干しの悩みを解消 スパイラルドライ気流
家電開発部 高橋 智
近頃は、洗濯物を屋内に干す方が増えています。PM2.5等の大気汚染や仕事の関係で日中洗濯ができないなど理由は様々で、部屋干し用をうたった洗剤なども次々と発売されています。私の同僚も共稼ぎで、洗濯が夜しかできないためほとんど部屋干しをしています。梅雨時や冬場は乾燥に特に時間がかかり、また特有の嫌な臭いがついてしまいます。この部屋干しの悩みを解消する製品を作り、人々の役に立ちたいと考え仕様の検討を開始しました。
洗濯物を素早く乾かすためには、ファンヒーターなどの暖房器具の風を洗濯物に当てるという方法がありますが、温風が拡散しやすく、必要以上に部屋の温度が高くなってしまいがちです。そこで目を付けたのが、当社が開発しているサーキュレーターの直進性の高いスパイラル気流でした。製品の中央からヒーターで温められた風(乾燥風)を吹き出し、その周りを包み込むようにスパイラル気流を送り出せば、衣類に一直線に乾燥風が届けられると考えたのです。3Dプリンターで数多くの筺体を試作し、既製のサーキュレーターと組み合わせた試作機で効果を検証していきました。
最適な形状や熱源を求めた試行錯誤の末、約1/2の時間(※)で洗濯物が乾かせるようになりました。また、部屋干しした洗い物の嫌な臭いは長時間湿ったままにしておくことで繁殖する雑菌が原因です。衣類乾燥機を使うことで、時間だけでなく臭いの不満も軽減することができます。
また、部屋干し対策として浴室乾燥機の使用も効果的ですが、電気代がかかるのがネックです。カラリエであれば一般的な電気式浴室乾燥機と比べて電気代を60%程度抑えることができます。
※試験条件:部屋の広さ5畳相当、外気温度20℃湿度50%における木造住宅の室内を想定した当社基準。
送風(強)/乾燥ヒーター(入)モードを使用。衣類の量2kg相当(Tシャツ3枚、Yシャツ2枚、パジャマ1組、下着7枚、靴下2足、タオル3枚)
試験に用いた衣類の量…2kg相当(Tシャツ3枚、Yシャツ2枚、パジャマ1組、下着7枚、靴下2足、タオル3枚)
居室(※2)
浴室(※3)
居室(※2)
浴室(※3)
(※1)1kwあたり27円で算出。
(※2)木造住宅の室内を想定した当社試験室。広さ5畳、外気温度20℃湿度50%。
(※3)広さ2畳、気温20℃湿度50%、双方とも換気扇を使用。
また、市場にはすでにいくつかの衣類乾燥除湿機がありました。1時間足らずで洗濯物が乾くものもありましたが、数万円する高価なものであるうえ、大型で重く、収納や持ち運びが大変でした。実際の使用シーンを思い浮かべたときに、「寝る前に干し、朝には乾いている」程の乾燥速度でよいので、10,000円前後の価格のものをお届けできればより喜んで頂けるのではないかと考え、カラリエを開発しました。2.5kgと軽く、扱いやすい持ち手がついていることもポイントです。
熱を発するものですので、温度管理や安全性には万全を期しています。ヒーターに直に触れてしまうことがないよう、ヒーターと吹き出し口に充分な距離を取り、吹き出し口には耐熱性の安全カバーをつけました。また、万が一の場合にもオーバーヒートすることのないよう、温度ヒューズとサーマルプロテクタによる二重の安全措置を施しました。転倒したら電源が切れる安全仕様ですので、小さなお子様やペットのいらっしゃるご家庭でも安心してお使い頂くことができます。