椅子に座っている人も
床に寝ころんでいる人も、一緒に涼しくなれる
家電開発部 三成健二
背の高いタワーファンは安定感が大事です。 筺体ごと左右に首振りするタワーファンには、揺れたり倒れたりしやすいという欠点がありました。 上下ルーバータワーファンでは本体が安定する技術にこだわり、本体は動かずルーバーだけが左右に動く“インナールーバー構造”を採用しました。安定感が増し、揺れや転倒の心配がありません。また、扇風機にはお子様が指を差し込み怪我をする心配がありますが、回転部に指が触れない安全な構造になっています。
これまでのタワーファンは、風向きを左右に変えるものが主流でしたが、通販サイトのレビューなどによると「風を上下に動かしたい」というご意見が多数ありました。それだけではどんな使い方を想定して上下に動かしたいと考えているのかわからなかったので、手作りした簡単な上下ルーバーを従来型のタワーファンに取り付けてみました。 自分はもちろん、同僚にも使ってみてもらったところ、「机の上の書類が飛ばなくていい」「足腰を冷やさずに上半身のみ涼しくできる」という喜びの声が聞かれました。タワーファンの高さによって風の届く範囲が制限されることに対する不満、風向きを上下に変えるメリットがしっかり理解できました。
ルーバーが上下に動かせるようにすることで、タワーファンの高さによる制限を解消できました。しかし、ただ上下に風が送れるだけでは、お客様の意見を形にしただけにすぎません。さらなるアイデアとして、ルーバーを上下に分割して、同時に上下2方向に送風できるように工夫しました。椅子に座っている人も、床に寝ころんでいる人も、一緒に涼しくなれるタワーファンを目指したのです。
商品特長を生むルーバーの設計にはこだわりました。ルーバーの可動域が大きすぎると、吹き出し口をふさいだり、人のいないところに風を送ることになり意味がありません。ルーバーの角度を細かく変えながら何度も風速測定を行い、適切な可動域を見出していきました。 また、ルーバーが短すぎると風の方向が安定せず、長すぎると空気抵抗が増し風が遠くに届きません。寸法の異なるルーバーで検証をしながら、風の直進性や到達距離の最適化を図りました。さらに、弱・中・強3段階にの風量調整機能に加え、「リズム風」「おやすみ風」を設定できるようにしました。上下左右に動かせるルーバーと合わせて、お好みの風をお好みの場所に届けられる商品です。